勤怠管理の重要性とは?会社を守る5つの理由と実践方法について

勤怠管理

勤怠管理は給与計算のための事務作業だと考えられがちで、日々の業務に追われる中小企業では、後回しにされやすい仕事の1つです。

しかし勤怠管理の重要性は、給与を正しく計算することにとどまらず、法令を守ること、従業員の健康を守ること、労使トラブルから会社を守ることにまで及びます。

労働基準監督署が扱う賃金不払の事案は毎年2万件を超えており、長時間労働による労災の請求も増え続けています。

この記事では、勤怠管理がなぜ重要なのかを5つの理由に分けて、厚生労働省の公表データや法律の根拠とあわせて解説します。

勤怠管理の重要性とは?

勤怠管理の重要性とは、賃金を正しく支払う、法令を守る、従業員の健康を守る、労使トラブルから会社を守る、働き方を改善するという5つの土台になることで、どれも労働時間の正確な記録がなければ成り立ちません。

勤怠管理は、それ自体が目的なのではなく、会社が従業員を雇ううえで果たすべき責任の多くを支える基盤です。

労働時間の記録がすべての土台になる理由

勤怠管理の5つの重要性と、労働時間の記録との関係は、以下の通りです。

重要性 労働時間の記録が必要な理由
正しい給与計算 時間外・深夜・休日の時間数から割増賃金を計算する
法令遵守 時間外労働の上限や休憩、有給休暇5日取得を守れているかを確認する
従業員の健康 長時間労働の従業員を把握し、医師の面接指導などにつなげる
労使トラブルの防止 残業代の請求や紛争の際に、会社の主張を裏付ける証拠になる
働き方の改善 残業の偏りや有給休暇の取得状況から、業務や人員配置を見直す

労働時間の記録が不正確であれば、この5つすべてが同時に崩れることになります。

働き方改革以降に重要性が高まった背景

2019年4月から施行された働き方改革関連法により、労働時間の客観的な把握、時間外労働の上限規制、年5日の有給休暇取得が、会社の義務として明確に定められました。

2020年4月には賃金請求権の時効が2年から3年に延び、2023年4月には中小企業にも月60時間を超える時間外労働の割増率50%以上が適用されています。

以前であれば多少あいまいな勤怠管理でも問題が表に出にくかったものが、現在では、記録の不備がそのまま法令違反や大きな金銭的リスクにつながるようになりました。

中小企業ほど勤怠管理が重要になる理由

勤怠管理の重要性は、大企業よりも中小企業の方が大きいといえます。

大企業であれば、1人の従業員から未払い残業代を請求されても経営への影響は限られますが、中小企業では、数百万円の支払いが1件発生するだけで、資金繰りに大きく響きます。

また中小企業では、勤怠の集計を担当者1人が兼務で行っていることが多く、その担当者の把握が不十分なまま運用が続いてしまうと、問題に誰も気づけません。

人員に余裕がない分、1人の従業員の長時間労働や体調不良が、事業全体に与える影響も大きくなります。

このように、勤怠管理の重要性とは、賃金を正しく支払う、法令を守る、従業員の健康を守る、労使トラブルから会社を守る、働き方を改善するという5つの土台になることで、どれも労働時間の正確な記録がなければ成り立ちません。

次は、1つ目の重要性である、正しい給与計算と未払い賃金の防止を確認します。

勤怠管理が重要な理由①正しい給与計算と未払い賃金の防止

勤怠管理が重要な1つ目の理由は、時間外・深夜・休日の労働時間を正しく区分して記録しなければ割増賃金を正しく計算できず、未払い賃金が発生するからで、労働基準監督署が扱う賃金不払の事案は年間2万件を超えています。

給与の計算ミスは、従業員との信頼関係を損なうだけでなく、後からまとめて精算を求められるリスクにもなります。

割増賃金の計算には時間の区分が必要

労働基準法では、労働時間の種類ごとに、以下の割増率で賃金を支払うことが義務付けられています。

労働時間の種類 割増率
時間外労働(1日8時間・週40時間を超えた部分) 25%以上
月60時間を超える時間外労働 50%以上
深夜労働(午後10時から午前5時まで) 25%以上
法定休日の労働 35%以上

合計の労働時間だけが分かっていても、どの時間がどの区分にあたるのかが分からなければ、割増賃金は計算できません。

出勤と退勤の時刻、休憩の時間、法定休日かどうかを日ごとに記録しておくことが、正しい給与計算の前提になります。

是正指導で支払われた未払い賃金の実態

厚生労働省の公表によると、令和7年に全国の労働基準監督署が取り扱った賃金不払の事案は22,605件で、対象労働者は173,016人、金額は約128億5,782万円にのぼります。

また、令和7年度に長時間労働が疑われる事業場に対して行われた監督指導では、29,150事業場のうち22,882事業場(78.5%)で労働基準関係法令の違反が見つかり、そのうち1,901事業場で賃金不払残業が確認されています。

こうした不払の多くは、会社が意図して支払わなかったものだけでなく、労働時間の記録と実際の労働時間がずれていたことで生じています。

このように、勤怠管理が重要な1つ目の理由は、労働時間を正しく区分して記録しなければ割増賃金を正しく計算できず、未払い賃金が発生するからで、労働基準監督署が扱う賃金不払の事案は年間2万件を超えています。

次は、2つ目の重要性である、法令遵守と労働基準監督署への対応を確認します。

勤怠管理が重要な理由②法令遵守と労働基準監督署への対応

勤怠管理が重要な2つ目の理由は、時間外労働の上限、休憩、休日、有給休暇5日取得など多くの法令上の義務が労働時間の記録を前提にしており、労働基準監督署の調査でも最初に確認されるのが勤怠の記録だからです。

勤怠管理そのものが義務であると同時に、ほかの義務を守れているかを確認する手段でもあります。

勤怠の記録を前提にした義務

労働時間の記録がなければ確認できない主な義務は、以下の通りです。

  • 時間外労働の上限(原則月45時間・年360時間、特別条項でも年720時間以内など)
  • 労働時間に応じた休憩時間の付与
  • 週1日以上の法定休日の付与
  • 年10日以上付与される従業員への年5日の有給休暇の取得
  • 賃金台帳への労働時間数の記入

特に時間外労働の上限は、2か月から6か月の平均で月80時間以内といった複数の月にまたがる基準もあるため、日々の記録を正確に積み上げていなければ守れているかを判断できません。

調査で最初に確認されるのは勤怠の記録

労働基準監督署の調査では、タイムカードや出勤簿などの労働時間の記録、賃金台帳、36協定の届出などの提出を求められます。

前の章で紹介した令和7年度の監督指導でも、違法な時間外労働が11,228事業場で見つかっており、監督指導を受けた事業場の約8割で何らかの法令違反が確認されています。

勤怠の記録が整っていれば、調査で違反を指摘されにくくなるだけでなく、仮に指摘を受けても、どの部分をどう直せばよいかをすぐに把握できます。

このように、勤怠管理が重要な2つ目の理由は、多くの法令上の義務が労働時間の記録を前提にしており、労働基準監督署の調査でも最初に確認されるのが勤怠の記録だからです。

次は、3つ目の重要性である、従業員の健康と安全配慮義務を確認します。

勤怠管理が重要な理由③従業員の健康と安全配慮義務

勤怠管理が重要な3つ目の理由は、会社には従業員の生命と健康に配慮する安全配慮義務があり、長時間労働による健康障害を防ぐためには、誰がどれだけ働いているかを把握しておく必要があるからです。

長時間労働による健康障害が起きた場合、会社は労災の認定だけでなく、損害賠償を求められる可能性もあります。

安全配慮義務と長時間労働

労働契約法第5条では、会社は労働者が生命と身体の安全を確保しつつ働けるよう、必要な配慮をすることとされています。

長時間労働を放置した結果、従業員が健康を損なった場合、会社は安全配慮義務を果たしていなかったとして、損害賠償の責任を問われることがあります。

従業員が自主的に長時間働いていたとしても、会社がその状況を把握できる立場にあった以上、責任を免れることは難しくなります。

過労死ラインと医師の面接指導の基準

厚生労働省の脳・心臓疾患の労災認定基準では、発症前1か月間におおむね100時間、または発症前2か月から6か月間の平均でおおむね80時間を超える時間外・休日労働があった場合、業務と発症との関連性が強いと評価されます。

また、労働安全衛生法では、時間外・休日労働が月80時間を超え、疲労の蓄積が認められる従業員から申し出があった場合、会社は医師による面接指導を行わなければなりません。

これらの基準に近づいている従業員を早めに把握するためには、月末にまとめて集計するのではなく、日々の労働時間を記録しておく必要があります。

過労死等の労災補償の状況

厚生労働省が公表した令和7年度の「過労死等の労災補償状況」によると、脳・心臓疾患に関する労災の請求件数は1,254件、支給決定件数は217件で、そのうち67件が死亡事案でした。

精神障害に関する労災の請求件数は4,958件、支給決定件数は1,082件で、支給決定件数は7年連続で過去最多を更新しています。

長時間労働は、脳・心臓疾患だけでなく精神障害の原因にもなりうるため、労働時間を把握することは、従業員の心身の健康を守る出発点になります。

このように、勤怠管理が重要な3つ目の理由は、会社には従業員の生命と健康に配慮する安全配慮義務があり、長時間労働による健康障害を防ぐためには、誰がどれだけ働いているかを把握しておく必要があるからです。

次は、4つ目の重要性である、労使トラブルから会社を守る記録としての役割を確認します。

勤怠管理が重要な理由④労使トラブルから会社を守る記録

勤怠管理が重要な4つ目の理由は、正確な勤怠の記録が、未払い残業代の請求や労働紛争の際に会社の主張を裏付ける証拠になるからで、記録がなければ従業員側の記録をもとに判断されることになります。

勤怠管理は従業員を管理するためのものと思われがちですが、実際には会社自身を守るための記録でもあります。

記録は会社の反論の証拠になる

元従業員から「毎日2時間の残業代が支払われていない」と請求された場合、会社に正確な勤怠の記録があれば、実際の労働時間を示して反論できます。

打刻の時刻と、修正した場合の申請・承認の履歴が残っていれば、記録が後から書き換えられたものではないことも説明できます。

反対に、所定の時刻が毎日同じように並んでいるだけの出勤簿では、実態を記録したものとは認められにくく、反論の材料になりません。

記録がない場合のリスク

会社に労働時間の記録がない場合、従業員が付けていた手帳のメモやパソコンのログなどをもとに労働時間が認定されることがあります。

賃金請求権の時効は3年に延びており、裁判になれば未払い額と同じ額までの付加金の支払いを命じられることもあります。

記録がない場合の具体的なリスクや試算については、勤怠管理がない会社のリスクを解説した記事で詳しく紹介しています。

このように、勤怠管理が重要な4つ目の理由は、正確な勤怠の記録が、未払い残業代の請求や労働紛争の際に会社の主張を裏付ける証拠になるからで、記録がなければ従業員側の記録をもとに判断されることになります。

次は、5つ目の重要性である、業務改善と人材定着への活用を確認します。

勤怠管理が重要な理由⑤業務改善と人材定着に使えるデータ

勤怠管理が重要な5つ目の理由は、勤怠の記録が、残業の偏りの発見や有給休暇を取りやすい環境づくり、人件費の見通しといった、業務改善と人材定着に使えるデータになるからです。

法令を守るための記録として取っている勤怠のデータは、見方を変えれば会社の働き方を映すデータでもあります。

残業の偏りから業務の見直しにつなげる

部署や従業員ごとの残業時間を比べると、特定の人や時期に業務が集中していることが見えてきます。

特定の従業員だけ残業が多い場合は、業務の分担や引き継ぎの方法を見直すきっかけになり、毎月決まった時期に残業が増える場合は、その時期の人員配置を前もって調整できます。

有給休暇の取得状況と働きやすさ

有給休暇の取得状況を従業員ごとに確認すると、取得しにくい部署や、休みを取らずに働き続けている従業員が分かります。

年5日の取得義務を守るためだけでなく、有給休暇を取りやすい職場をつくることは、従業員の定着にもつながります。

人手不足が続く中小企業にとって、従業員が辞めずに働き続けられる環境を整えることは、採用と同じくらい重要な課題です。

人件費の見通しを立てる

勤怠の記録から残業時間の推移をつかんでおけば、毎月の人件費がどの程度になるかを事前に見通せます。

繁忙期の残業代が想定より膨らんでいることに早めに気づけば、人員の追加や業務の外注を検討するなど、手を打つ余地が生まれます。

このように、勤怠管理が重要な5つ目の理由は、勤怠の記録が、残業の偏りの発見や有給休暇を取りやすい環境づくり、人件費の見通しといった、業務改善と人材定着に使えるデータになるからです。

次は、勤怠管理の重要性を低コストで実践できる勤怠クラウドを紹介します。

勤怠管理の重要性を低コストで実践するなら勤怠クラウド

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勤怠クラウドでは、スマホやパソコンのブラウザから出勤・休憩開始・休憩終了・退勤を打刻すると、その時刻がそのまま記録されます。

打刻を忘れた場合は、従業員が修正を申請し、管理者が承認すると反映されるため、誰がいつ修正したのかが記録に残ります。

集計した勤怠は、法定内残業・法定外残業・深夜労働・休日労働を区分して給与ソフト向けのCSVとして出力できるため、割増賃金を正しく計算するための記録としてそのまま使えます。

36協定の上限と有給休暇5日のアラート

勤怠クラウドには、残業超過・打刻漏れ・36協定の上限・有給休暇5日取得未達のアラートが標準で搭載されています。

月末を待たずに、長時間労働になりつつある従業員や、有給休暇の取得が進んでいない従業員に気づけるため、健康障害の防止と法令遵守の両方に役立ちます。

有給休暇は入社日と週の所定労働日数から自動で付与されるため、パートやアルバイトの比例付与も含めて付与漏れを防げます。

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