勤怠管理の位置情報打刻とは?仕組みとプライバシーの注意点について

勤怠管理

営業職の直行直帰や現場への直行、在宅勤務が増えると、従業員が本当にその時刻に仕事を始めていたのかを、会社から確認する方法がなくなります。

そこで勤怠管理に位置情報を取り入れ、打刻した場所をあわせて記録する会社が増えていますが、従業員から監視されているように感じるという声が出ることもあります。

位置情報は個人情報にあたるため、取得の仕方やルールを決めずに導入すると、社内の反発やトラブルにつながりかねません。

この記事では、勤怠管理で位置情報を記録する仕組み、メリットとデメリット、法的な注意点、システムの選び方までを解説します。

勤怠管理の位置情報打刻とは?

勤怠管理の位置情報打刻とは、スマホやパソコンで出勤・退勤を打刻した時点の場所を、打刻時刻と一緒に記録する機能で、勤務中の従業員の居場所を追い続けるものではなく、直行直帰やテレワークの勤務実態を確認するために使われます。

記録されるのは打刻ボタンを押した瞬間の位置だけで、それ以外の時間の移動や居場所は記録されません。

管理者は、勤怠の記録とあわせて、従業員がどこで勤務を始め、どこで終えたのかを後から確認できます。

GPS打刻・位置追跡との違い

位置情報打刻は、GPS打刻とも呼ばれ、どちらも打刻した時点の位置を記録する同じ機能を指しています。

これに対して、配送車両や営業担当者の移動経路を一定間隔で記録し続ける仕組みは、動態管理や位置追跡と呼ばれ、勤怠管理の位置情報打刻とは別のものです。

種類 記録するタイミング 主な目的
位置情報打刻(GPS打刻) 出勤・退勤などを打刻した時点のみ 勤務の開始・終了場所の確認
動態管理(位置追跡) 勤務中に一定間隔で継続的に記録 移動経路や訪問先の管理

従業員が不安を感じやすいのは、常に居場所を見られているのではないかという点ですが、勤怠管理の位置情報打刻であれば、打刻の瞬間以外の位置は会社に伝わりません。

位置情報を取得する仕組み

スマホやパソコンは、以下のような情報を組み合わせて現在地を割り出しています。

  • GPS衛星からの電波
  • 周辺にあるWi-Fiのアクセスポイントの情報
  • 携帯電話の基地局の情報
  • パソコンの場合は、接続しているネットワークの情報

屋外ではGPSの精度が高く、屋内ではWi-Fiや基地局の情報を使って位置を補うため、場所によって精度が変わります。

勤怠管理システムで位置情報を取得する方法には、専用のスマホアプリを使う方法と、アプリを入れずにブラウザの標準機能で取得する方法があります。

ブラウザで取得する方法は、アプリのインストールが不要で、パソコンからの打刻でも同じ仕組みで位置を記録できます。

どちらの方法でも、端末やブラウザで位置情報の利用を許可しなければ、位置は取得されません。

位置情報の精度と誤差が出る場面

位置情報は、端末や電波の状況によって誤差が生じます。

特に以下のような場面では、実際の場所から数十メートルから数百メートルずれて記録されることがあります。

  • 地下や高層ビルの中など、GPSの電波が届きにくい場所
  • 周辺にWi-Fiのアクセスポイントが少ない場所
  • パソコンのように、GPSを搭載していない端末
  • 端末の位置情報の設定で、精度の低いモードが選ばれている場合

勤怠管理での位置情報は、どの現場やどの地域で打刻したかを確認するためのもので、建物の部屋単位まで特定する用途には向いていません。

このように、勤怠管理の位置情報打刻とは、打刻した時点の場所を時刻と一緒に記録する機能で、勤務中の居場所を追い続けるものではなく、直行直帰やテレワークの勤務実態を確認するために使われます。

次は、勤怠管理に位置情報を使うメリットを確認します。

勤怠管理に位置情報を使うメリット

勤怠管理に位置情報を使うメリットは、事務所の外で働く従業員の勤務開始・終了の場所を確認できることで、直行直帰やテレワークの勤務実態の把握、不正打刻の抑止、打刻用の専用機器が不要になるといった効果があります。

事務所のタイムカードでは、事務所に来た人の出退勤しか記録できませんが、位置情報打刻であれば働く場所にかかわらず同じ基準で記録できます。

直行直帰・現場勤務の実態を把握できる

営業職の直行直帰や、建設業・訪問介護・警備などの現場勤務では、従業員が事務所に立ち寄らずに仕事を始めることが多くなります。

位置情報打刻を使えば、従業員は現場に着いた時点でスマホから打刻でき、管理者はその打刻が現場で行われたことを確認できます。

事務所に戻ってからまとめて申告してもらう運用に比べて、始業・終業の時刻を正確に記録できるため、残業時間の把握にも役立ちます。

テレワークの勤務場所を確認できる

在宅勤務を認めている会社では、就業規則で自宅やサテライトオフィスなど勤務できる場所を定めていることが一般的です。

位置情報打刻を使えば、決められた場所で勤務を始めているかを確認でき、情報漏えいのおそれがある場所での作業を防ぐことにもつながります。

不正打刻・代理打刻を抑止できる

移動中や自宅を出る前に出勤の打刻をする、同僚に代わりに打刻してもらうといった不正は、時刻だけの記録では見抜くことができません。

打刻した場所が記録されることを従業員が知っているだけで、こうした不正は起こりにくくなります。

実際に不正を見つけるためというより、正しく打刻する習慣をつけるための仕組みとして機能します。

ICカードや専用端末がいらない

代理打刻を防ぐ方法としては、ICカードや顔認証・静脈認証の専用端末もありますが、これらは機器の購入費がかかり、機器を置いた場所でしか打刻できません。

位置情報打刻は従業員のスマホやパソコンで行えるため、機器を用意する費用がかからず、事務所の外でも使えます。

このように、勤怠管理に位置情報を使うメリットは、事務所の外で働く従業員の勤務開始・終了の場所を確認できることで、直行直帰やテレワークの実態把握、不正打刻の抑止、専用機器が不要になるといった効果があります。

次は、位置情報打刻のデメリットと、その対策を確認します。

位置情報打刻のデメリットと対策

位置情報打刻のデメリットは、場所によって誤差が出ること、従業員が監視されていると感じやすいこと、私物スマホを使う場合の負担が生じることなどで、導入前に運用ルールを決めて従業員に説明しておくことで対策できます。

どのデメリットも、システムの機能だけで解決するものではなく、会社としての運用の決め方によって大きく変わります。

屋内や地下で誤差が出る

位置情報は屋内や地下で誤差が大きくなるため、正しい場所で打刻していても、記録された位置が少し離れた場所になることがあります。

記録された位置がずれていることを理由に、すぐに不正と判断しないように、どの程度のずれであれば問題としないかをあらかじめ決めておくことが大切です。

位置だけで判断せず、打刻の時刻や業務の予定とあわせて確認する運用にしておくと、誤解によるトラブルを防げます。

従業員が監視されていると感じる

位置情報の記録を始めると、従業員の中には、常に居場所を見られているのではないかと不安を感じる人が出てきます。

導入前に、記録されるのは打刻した瞬間の場所だけであること、何の目的で記録し、誰が確認するのかを説明しておく必要があります。

目的を勤務実態の確認に限定し、それ以外の評価や詮索に使わないことを明確にしておけば、不安の多くは解消できます。

私物スマホの利用とバッテリー・通信費

会社がスマホを貸与していない場合は、従業員の私物スマホで打刻してもらうことになります。

打刻の瞬間だけ位置を取得する方式であれば、常に位置を記録し続ける方式に比べてバッテリーや通信量への影響はわずかです。

それでも、私物の端末を業務に使ってもらう以上、通信費の補助の有無や、私物スマホでの打刻を義務とするかどうかを、あらかじめ決めて説明しておくのが望ましいでしょう。

位置情報を許可しない従業員への対応

位置情報は、従業員が端末やブラウザで利用を許可しなければ取得できません。

位置情報を許可しないと打刻できない設定にしている場合、許可を拒否した従業員や、端末の設定がうまくいかない従業員は打刻そのものができなくなり、労働時間の記録が残らなくなります。

労働時間の記録は会社の義務であるため、位置情報がなくても打刻は記録できるようにしておき、位置情報のない打刻があった場合は管理者が確認する運用の方が、記録の漏れを防げます。

このように、位置情報打刻のデメリットは、誤差が出ること、従業員が監視されていると感じやすいこと、私物スマホを使う場合の負担などで、導入前に運用ルールを決めて従業員に説明しておくことで対策できます。

次は、位置情報を記録するタイプと打刻を制限するタイプの違いを確認します。

位置情報の記録型と打刻制限型の違い

位置情報打刻には、打刻した場所を記録するだけの記録型と、決められた場所以外では打刻できないようにする打刻制限型があり、勤務場所が日によって変わる会社や、打刻の記録漏れを避けたい会社には記録型が向いています。

比較記事では打刻制限型の方が不正を防げると紹介されることが多いですが、運用面では注意が必要な点もあります。

打刻時の位置を記録するタイプ

記録型は、どこで打刻しても打刻自体は受け付け、その時点の位置を記録として残すタイプです。

管理者は記録された位置を後から確認し、予定と違う場所での打刻があれば、本人に事情を確認します。

打刻ができないという事態が起きないため、労働時間の記録が確実に残る点が最大の利点です。

指定場所以外の打刻を制限するタイプ

打刻制限型は、事務所や現場など打刻できる場所をあらかじめ登録し、その範囲の外では打刻できないようにするタイプで、ジオフェンスとも呼ばれます。

不正な打刻を仕組みで防げる一方で、以下のような問題が起こりやすくなります。

  • 現場が毎日変わる場合、打刻できる場所を毎回登録し直す必要がある
  • 位置情報の誤差で、正しい場所にいても範囲外と判定され、打刻できないことがある
  • 打刻できなかった分を後から修正する手間が、従業員と管理者の両方に発生する
  • 範囲外で働いた時間が、打刻されないまま労働時間から漏れるおそれがある

打刻できなかった時間も労働時間であることに変わりはないため、制限型を使う場合でも、打刻できなかったときの修正申請の流れを必ず用意しておく必要があります。

業種・働き方別の選び方

業種や働き方によって、向いているタイプは以下のように分かれます。

業種・働き方 勤務場所の特徴 向いているタイプ
建設・警備・イベント 現場が日によって変わる 記録型
営業職の直行直帰 訪問先が毎日変わる 記録型
訪問介護・訪問看護 利用者宅を複数回る 記録型
テレワーク 自宅など決まった場所 記録型、または制限型
複数店舗・複数拠点 勤務する拠点が決まっている 記録型、または制限型

中小企業では、勤務場所が固定されていない職種ほど位置情報打刻を必要とするため、打刻場所の登録が不要で記録漏れの起きない記録型の方が、運用の負担が小さくなります。

このように、位置情報打刻には記録型と打刻制限型があり、勤務場所が日によって変わる会社や、打刻の記録漏れを避けたい会社には記録型が向いています。

次は、勤怠管理で位置情報を取得するときの法的な注意点を確認します。

勤怠管理で位置情報を取得するときの法的な注意点

勤怠管理で位置情報を取得するときは、勤務時間中の打刻時に限って取得し、個人情報保護法にしたがって利用目的を特定して従業員に通知または公表したうえで、就業規則などに取得のルールを定めておく必要があります。

打刻時の位置情報は、従業員の氏名や勤怠の記録と結びついて保存されるため、特定の個人を識別できる個人情報として扱う必要があります。

勤務時間中の位置情報とプライバシー

従業員は勤務時間中、会社の指揮命令のもとで業務に専念する義務を負っており、その時間の勤務場所を会社が把握すること自体は、労務管理の範囲内と考えられています。

一方で、勤務時間外や休日の位置を会社が把握することは、業務との関係がなく、プライバシーの侵害にあたるおそれがあります。

打刻時に限って位置を取得する方式であれば、勤務の開始と終了の時点の位置しか記録されないため、この線引きを守りやすくなります。

個人情報保護法上の利用目的の特定と通知

個人情報保護法では、個人情報を扱う事業者は、その利用目的をできる限り特定しなければならないと定められています(第17条)。

また、個人情報を取得した場合は、あらかじめ利用目的を公表している場合を除き、速やかに本人に通知するか公表しなければなりません(第21条)。

特定した利用目的の範囲を超えて個人情報を扱う場合は、原則として本人の同意が必要です(第18条)。

たとえば、位置情報の利用目的を「勤務の開始・終了場所の確認のため」と定めた場合、その位置情報を人事評価や勤務時間外の行動確認に使うことは、利用目的の範囲を超えるおそれがあります。

利用目的は「業務管理のため」のような漠然とした表現ではなく、従業員が何に使われるのかを合理的に想定できる程度に具体的に定めておく必要があります。

就業規則への記載例

位置情報の取得のルールは、就業規則や、就業規則に付随するテレワーク規程などに定め、従業員に周知しておくのが確実です。

記載する内容の例は、以下の通りです。

  • 勤怠管理システムでの打刻時に、打刻した場所の位置情報を取得すること
  • 位置情報の利用目的は、勤務の開始・終了場所の確認と労働時間の適正な把握に限ること
  • 勤務時間外の位置情報は取得しないこと
  • 位置情報を確認できるのは、勤怠を管理する権限を持つ者に限ること
  • 私物の端末で打刻する場合の取り扱い

就業規則を変更する場合は、労働者の過半数代表者などの意見を聴いたうえで、常時10人以上の労働者を使用する事業場では労働基準監督署に届け出る必要があります。

勤務時間外に位置情報を取得しない運用

法令上の問題を避けるうえで最も重要なのは、勤務時間外の位置情報を取得しないことです。

勤怠管理システムを選ぶ段階で、打刻の瞬間だけ位置を取得する方式かどうかを確認しておけば、勤務時間外に位置が記録されることはありません。

あわせて、位置情報を確認できる管理者の範囲を、担当する部署や拠点の従業員に限定できるかも確認しておくと安心です。

このように、勤怠管理で位置情報を取得するときは、勤務時間中の打刻時に限って取得し、利用目的を特定して従業員に通知または公表したうえで、就業規則などに取得のルールを定めておく必要があります。

次は、位置情報打刻ができる勤怠管理システムの選び方を確認します。

位置情報打刻ができる勤怠管理システムの選び方

位置情報打刻ができる勤怠管理システムを選ぶときは、位置情報の機能が上位プラン限定やオプションになっていないか、アプリなしでブラウザから使えるか、位置情報を許可しなくても打刻できるかを確認することが大切です。

位置情報打刻に対応していると書かれていても、使える条件や記録の仕方は製品によって異なります。

上位プラン限定・オプション扱いになっていないか

勤怠管理システムの中には、位置情報の記録やスマホからの打刻が、上位のプランでしか使えなかったり、別料金のオプションになっていたりするものがあります。

料金表の最安プランの金額だけを見て選ぶと、位置情報を使うために上位プランへの切り替えが必要になり、想定より費用が高くなることがあります。

位置情報打刻を使う前提であれば、その機能が含まれるプランの税込の月額で比較する必要があります。

アプリをインストールせずブラウザから使えるか

専用アプリが必要なシステムでは、従業員全員のスマホにアプリをインストールしてもらう必要があり、私物スマホの場合は抵抗を感じる従業員もいます。

ブラウザから打刻できるシステムであれば、アプリのインストールが不要で、スマホでもパソコンでも同じ手順で打刻できます。

打刻位置の確認方法

記録された位置の確認方法には、地図上に打刻地点を表示するものや、打刻した場所を住所などの文字で表示するものがあります。

多くの従業員の打刻を毎日確認するのであれば、勤怠の一覧の中で打刻した場所を文字で確認できる方が、1件ずつ地図を開くよりも確認の手間がかかりません。

位置情報を許可しなくても打刻できるか

前の章で解説した通り、位置情報を許可しないと打刻できない仕組みでは、労働時間の記録が残らない事態が起こりえます。

位置情報がなくても打刻は記録され、位置情報のない打刻を管理者が把握できる仕組みの方が、記録の漏れを防げます。

このように、位置情報打刻ができる勤怠管理システムを選ぶときは、位置情報の機能が上位プラン限定やオプションになっていないか、アプリなしでブラウザから使えるか、位置情報を許可しなくても打刻できるかを確認することが大切です。

次は、位置情報打刻を追加料金なしで使える勤怠クラウドを紹介します。

位置情報打刻を追加料金なしで使うなら勤怠クラウド

勤怠管理で位置情報打刻を追加料金なしで使うなら、アプリ不要でブラウザから打刻でき、打刻時の場所を勤怠の記録とあわせて残せる勤怠クラウドがおすすめです。

勤怠クラウドは、中小企業向けの定額制の勤怠管理システムで、位置情報打刻を全プランで利用できます。

ブラウザから打刻し、打刻時の場所を記録

勤怠クラウドは、スマホやパソコンのブラウザから打刻する勤怠管理システムで、専用アプリのインストールは必要ありません。

ブラウザで位置情報の利用を許可すると、出勤・退勤を打刻した時点の場所が記録され、勤怠の記録とあわせて確認できます。

位置情報を取得するのは打刻の瞬間だけで、勤務時間中の移動や勤務時間外の居場所が記録されることはありません。

位置情報の利用を許可しなくても打刻自体はできるため、端末の設定が原因で労働時間が記録されないということもありません。

全プランで追加料金なし

勤怠クラウドは、従業員数の上限ごとに月額を固定した定額制で、位置情報打刻を含むすべての機能を追加料金なしで利用できます。

プラン 従業員数 月額(税込)
ライト 50名まで 4,950円
スタンダード 100名まで 8,800円
プレミアム 300名まで 16,500円

初期費用はかからず、打刻はスマホとパソコンで行うため、ICカードリーダーなどの専用機器を購入する必要もありません。

休暇・打刻修正の申請と承認、有給休暇の自動付与、残業や36協定の上限のアラート、給与ソフト向けのCSV出力など、勤怠管理に必要な機能もすべて含まれています。

30日間無料・自動課金なし

勤怠クラウドは30日間の無料体験が可能で、クレジットカードの登録も必要ありません。

無料体験は自動で有料契約に切り替わることはなく、決済の手続きをしない限り料金は発生しません。

体験期間中に、直行直帰やテレワークの従業員に実際に打刻してもらい、打刻した場所がどのように記録されるかを確認してから、導入を判断できます。

このように、勤怠管理で位置情報打刻を追加料金なしで使うなら、アプリ不要でブラウザから打刻でき、打刻時の場所を勤怠の記録とあわせて残せる勤怠クラウドがおすすめです。