有給休暇の付与日はいつ?基準日の決まり方と統一する方法について

有給休暇

従業員ごとに入社した月が異なると、休暇をいつ与えるのかも人によってばらばらになり、管理が追いつかなくなりがちです。

そのため、有給休暇をいつ付与すればよいのか、付与日の数え方に迷う担当者は少なくありません。

入社日に与えてもよいのか、全員の日付を4月1日にそろえてもよいのかも気になるところです。

日付の決め方を誤ると、法律より遅く与えていたり、年5日の取得義務の期限を見誤ったりするおそれがあります。

有給休暇の付与日について、法律上の決まりから前倒しや統一の方法まで順に確かめていきます。

有給休暇の付与日はいつ?

有給休暇の付与日は、最初が雇入れの日から6か月後で、2回目以降は最初の付与日から1年ごとです。

最初の付与日は雇入れから6か月後

有給休暇は、雇入れの日から6か月継続して勤務し、全労働日の8割以上出勤した従業員に付与します(労働基準法第39条第1項)。

6か月は入社した日を含めて数えるため、4月1日に入社した従業員の最初の付与日は10月1日です。

入社日 最初の付与日
1月1日 7月1日
4月1日 10月1日
6月15日 12月15日
10月1日 翌年4月1日

最初の付与日を迎えた日から、従業員は有給休暇を取得できます。

2回目以降は最初の付与日から1年ごと

2回目以降は、最初の付与日から1年ごとに付与します(労働基準法第39条第2項)。

4月1日に入社した従業員であれば、最初が10月1日、2回目が翌年の10月1日、3回目がその翌年の10月1日です。

入社日が従業員ごとに異なれば、付与日も従業員ごとに異なります。

付与日は「基準日」と呼び、出勤率と付与日数の判定に使う

有給休暇を付与する日を基準日といいます。

基準日には、その時点の勤続年数で付与する日数を決め、直前の期間の出勤率で付与するかどうかを判定します。

年5日の取得義務の期限も基準日から数えるため、基準日は有給休暇の管理の起点になります。

このように、有給休暇の付与日は、最初が雇入れの日から6か月後で、2回目以降は最初の付与日から1年ごとです。

次は、有給休暇の付与日に付与される日数と条件を解説します。

有給休暇の付与日に付与される日数と条件

有給休暇の付与日には、その時点の勤続年数に応じた日数を付与しますが、直前の期間の出勤率が8割に満たない場合は、その付与日には付与しません。

勤続年数ごとの付与日数

フルタイムの従業員に付与日ごとに付与する日数は、以下の通りです(労働基準法第39条第2項)。

付与日 勤続年数 付与日数
1回目 6か月 10日
2回目 1年6か月 11日
3回目 2年6か月 12日
4回目 3年6か月 14日
5回目 4年6か月 16日
6回目 5年6か月 18日
7回目以降 6年6か月以上 20日

週の所定労働時間が30時間未満で週4日以下のパートなどは、所定労働日数に応じた日数を付与します。

パートの付与日数は、パートの有給休暇の日数の記事で詳しく解説しています。

8割の出勤率を判定する期間

付与するかどうかは、付与日の直前の期間に、全労働日の8割以上出勤したかどうかで判定します。

判定する期間は、最初の付与日は雇入れの日からの6か月間、2回目以降は直前の付与日からの1年間です。

付与日(4月1日入社の場合) 出勤率を判定する期間
10月1日(1回目) 4月1日〜9月30日
翌年10月1日(2回目) 10月1日〜翌年9月30日

業務上のけがや病気で休業した日、産前産後休業や育児・介護休業の日、有給休暇を取得した日は、出勤したものとして扱います(労働基準法第39条第10項)。

8割未満で付与しない年も、付与日は変わらない

出勤率が8割に満たなかった場合は、その付与日には有給休暇を付与しません。

ただし、次の付与日がずれることはなく、1年後の付与日にはその1年間の出勤率で改めて判定します。

勤続年数も通算するため、勤続2年6か月の付与日に付与しなかった従業員でも、勤続3年6か月の付与日に8割以上出勤していれば14日を付与します。

このように、有給休暇の付与日には、その時点の勤続年数に応じた日数を付与しますが、直前の期間の出勤率が8割に満たない場合は、その付与日には付与しません。

次は、有給休暇の付与日を前倒しする方法を解説します。

有給休暇の付与日を前倒しする方法

有給休暇の付与日は、法律より早くする分には従業員の不利にならないため前倒しでき、入社日に10日を付与する方法と、入社日と6か月以内に分けて付与する方法があります。

入社日に10日を付与する

法律で定める付与日は最低限の基準であるため、それより早く付与することは認められます。

入社日に10日を付与した場合は、入社日が付与日になり、2回目以降も入社日から1年ごとに付与します。

4月1日入社の場合 法律どおり 入社日に付与
1回目(10日) 10月1日 4月1日
2回目(11日) 翌年10月1日 翌年4月1日
3回目(12日) 翌々年10月1日 翌々年4月1日

入社直後から休暇を取れるため、従業員にとっては有利な扱いになります。

入社日と6か月以内に分けて付与する

最初の10日を、入社日と、入社から6か月以内の日に分けて付与することもできます。

たとえば、4月1日に入社した従業員に、入社日に5日、7月1日に残りの5日を付与する方法です。

分けて付与する場合も、2回目以降の付与日は、最初の付与日を繰り上げた期間と同じかそれ以上、法律の付与日より早くする必要があります。

前倒しの要件

付与日を前倒しする場合は、以下の2つの要件を満たす必要があります。

  • 前倒しによって短くなった期間は、全期間出勤したものとみなして出勤率を判定する
  • 2回目以降の付与日も、最初の付与日を繰り上げた期間と同じかそれ以上、法律の付与日より繰り上げる

入社日に10日を付与した従業員の2回目の付与日を、法律どおりの翌年10月1日に戻すことはできず、翌年4月1日かそれより前に付与します。

このように、有給休暇の付与日は、法律より早くする分には従業員の不利にならないため前倒しでき、入社日に10日を付与する方法と、入社日と6か月以内に分けて付与する方法があります。

次は、有給休暇の付与日を統一する方法を解説します。

有給休暇の付与日を統一する方法

有給休暇の付与日は、法律の付与日より遅くならない範囲であれば、全員を4月1日にそろえたり、4月1日と10月1日の年2回にそろえたりして統一できます。

全員の付与日を4月1日にそろえる

入社日がばらばらでも、付与日を前倒しすることで、全員の付与日を4月1日などの決まった日にそろえることができます。

4月1日にそろえる場合の例は、以下の通りです。

入社した月 1回目 2回目以降
4月〜9月 10月1日に10日 翌年4月1日に11日、以降毎年4月1日
10月〜翌年3月 直後の4月1日に10日 その翌年4月1日に11日、以降毎年4月1日

4月入社の従業員は、2回目の11日を法律より6か月早く受け取ることになり、どの月に入社した従業員も法律の付与日より遅くなることはありません。

4月1日と10月1日の年2回にそろえる

4月1日の1回にそろえると、4月から9月に入社した従業員は、2回目の付与が大きく早まります。

前倒しする期間を短くしたい場合は、4月から9月に入社した従業員は毎年10月1日、10月から翌年3月に入社した従業員は毎年4月1日と、付与日を年2回に分ける方法もあります。

入社した月 付与日
4月〜9月 10月1日(以降毎年10月1日)
10月〜翌年3月 4月1日(以降毎年4月1日)

法律の付与日より遅らせることはできない

付与日をそろえるときに、法律の付与日より遅い日に合わせることは認められません。

たとえば、全員の付与日を1月1日にそろえる会社で、6月1日に入社した従業員の最初の10日を翌年1月1日に付与すると、法律の付与日である12月1日より遅れてしまいます。

この場合は、12月1日に10日を付与し、直後の1月1日に2回目の11日を付与するなど、法律の付与日を守ったうえでそろえる必要があります。

このように、有給休暇の付与日は、法律の付与日より遅くならない範囲であれば、全員を4月1日にそろえたり、4月1日と10月1日の年2回にそろえたりして統一できます。

次は、有給休暇の付与日と年5日の取得義務の関係を解説します。

有給休暇の付与日と年5日の取得義務

有給休暇の付与日に10日以上を付与した従業員には、付与日から1年以内に5日を取得させる必要があり、前倒しや統一で付与日を変えた場合は、変えた付与日から期限を数えます。

付与日から1年以内に5日を取得させる

会社は、有給休暇を10日以上付与した従業員に、付与日から1年以内に5日を取得させなければなりません(労働基準法第39条第7項)。

10月1日に10日を付与した場合は、翌年9月30日までに5日を取得させる必要があります。

対象の従業員に5日を取得させなかった場合は、30万円以下の罰金の対象になります(労働基準法第120条)。

前倒しした場合は、10日に達した日から1年以内

入社日に10日を付与した場合は、入社日から1年以内に5日を取得させる必要があります。

入社日に5日、7月1日に5日と分けて付与した場合は、合計が10日に達した7月1日から1年以内が期限です。

この場合、入社日から6月30日までに従業員が取得した日数は、5日から差し引くことができます。

付与日をそろえて期間が重なる場合は比例按分できる

4月1日に入社した従業員に10月1日に10日を付与し、翌年から付与日を4月1日にそろえると、1回目と2回目の5日を取得させる期間が重なります。

このように期間が重なる場合は、重なるそれぞれの期間を通した長さに応じて、月数÷12×5日の日数を取得させることも認められています。

付与の例 通した期間 取得させる日数
10月1日に10日、翌年4月1日に11日 10月1日〜翌々年3月31日(18か月) 18÷12×5=7.5日
4月1日に5日、7月1日に5日、翌年4月1日に11日 7月1日〜翌々年3月31日(21か月) 21÷12×5=8.75日

半日単位の取得を認めていない場合は、7.5日は8日、8.75日は9日に切り上げて取得させます。

付与日の決め方は就業規則に定める

休暇に関する事項は、就業規則に必ず記載しなければならない事項です(労働基準法第89条)。

前倒しや統一で付与日を変える場合は、付与日の決め方、付与する日数、年5日を取得させる期間を就業規則に定めておく必要があります。

このように、有給休暇の付与日に10日以上を付与した従業員には、付与日から1年以内に5日を取得させる必要があり、前倒しや統一で付与日を変えた場合は、変えた付与日から期限を数えます。

次は、有給休暇の付与日を自動で管理できる勤怠クラウドを紹介します。

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雇入れ日から従業員ごとの付与日を判定し、自動で付与

勤怠クラウドでは、従業員の雇入れ日を登録しておくと、雇入れから6か月後と以降1年ごとの付与日を、従業員ごとに毎日判定します。

付与日を迎えた従業員には、勤続年数とグループに設定した週の所定労働日数に応じた法定の日数を、自動で付与します。

会社独自に法定より多く付与している場合は、上乗せする日数も設定できます。

付与日に出勤率を算出し、算出できない場合はアラートで知らせる

付与日には、直前の期間の出勤率を打刻から算出し、8割以上であれば自動で付与します。

最初の付与日は雇入れの日からの期間、2回目以降は直前の1年間で出勤率を算出します。

出勤率が8割に満たなかった場合や、出勤率を算出できない場合は、自動では付与せず、管理者にアラートで知らせます。

アラートを確認したうえで、従業員ごとの休暇の画面から手動で付与できます。

付与日から1年以内の5日取得を、期限の3か月前から通知

自動で付与した法定日数が10日以上の場合は、年5日の取得義務の対象として記録されます。

付与日から1年の期限の3か月前になっても5日を取得していない場合は「未達の見込み」、期限を過ぎても取得していない場合は「未達」として、管理者にアラートで知らせます。

従業員ごとに異なる付与日と期限を、担当者が一人ずつ数える必要はありません。

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