有給休暇の最大日数は何日?繰越の上限と時効について
有給休暇長く勤める従業員が増えると、使い切れずに残っている休暇の日数が人によって大きく異なってきます。
そのため、有給休暇は最大で何日まで持てるのか、最大日数の考え方に迷う担当者は少なくありません。
使わなかった日数をどこまで翌年に持ち越せるのか、会社で上限を決めてよいのかも気になるところです。
扱いを誤ると、本来は残っているはずの休暇を消してしまい、従業員とのトラブルにもつながりかねません。
有給休暇の最大日数について、繰越と時効の決まりからパートの場合や退職時の扱いまで順に確かめていきます。
有給休暇の最大日数は何日?
有給休暇の最大日数は、1年に付与される日数では20日、前年から繰り越した日数を含めて保有できる日数では40日です。
1年に付与される最大日数は20日
フルタイムの従業員に1年に付与される有給休暇は、勤続年数に応じて増え、勤続6年6か月以上で最大の20日になります(労働基準法第39条第2項)。
| 勤続年数 | 付与日数 |
|---|---|
| 6か月 | 10日 |
| 1年6か月 | 11日 |
| 2年6か月 | 12日 |
| 3年6か月 | 14日 |
| 4年6か月 | 16日 |
| 5年6か月 | 18日 |
| 6年6か月以上 | 20日 |
勤続6年6か月を過ぎても、法律で付与しなければならない日数は20日のまま増えません。
繰越を含めて保有できる最大日数は40日
使わなかった有給休暇は翌年に繰り越せるため、前年に付与された20日を1日も使わなかった場合は、その年に付与された20日と合わせて40日を保有することになります。
繰り越せるのは前年に付与された分だけで、2年前に付与された分は時効で消滅するため、法律どおりの付与では40日が保有の上限です。
年5日の取得義務を守っていれば、実際の最大は35日
会社は、有給休暇を10日以上付与した従業員に、付与日から1年以内に5日を取得させなければなりません(労働基準法第39条第7項)。
20日を付与した従業員が5日を取得すると、翌年に繰り越せるのは最大で15日になり、新たに付与される20日と合わせて35日が保有の上限になります。
| 前年の取得日数 | 繰越 | 当年の付与 | 保有日数 |
|---|---|---|---|
| 0日 | 20日 | 20日 | 40日 |
| 5日 | 15日 | 20日 | 35日 |
従業員が40日を保有している場合は、前年に年5日を取得させていなかった可能性があるため、取得状況を確認する必要があります。
このように、有給休暇の最大日数は、1年に付与される日数では20日、前年から繰り越した日数を含めて保有できる日数では40日です。
次は、有給休暇の最大日数を決める繰越と時効を解説します。
有給休暇の最大日数を決める繰越と時効
有給休暇の最大日数は、使わなかった日数を翌年に繰り越せることと、付与日から2年で時効により消滅することで決まり、会社が就業規則でこれより少ない上限を定めることはできません。
使わなかった日数は翌年に繰り越せる
その年に使わなかった有給休暇は、翌年に繰り越して使うことができます。
繰り越した日数は、翌年に付与された日数と合わせて取得でき、繰り越しのために従業員が手続きをする必要はありません。
時効は付与日から2年
有給休暇を請求する権利は、付与日から2年で時効により消滅します(労働基準法第115条)。
2020年4月の改正で、賃金を請求する権利の時効は5年(当分の間は3年)に延びましたが、有給休暇を請求する権利の時効は2年のまま変わっていません。
なお、有給休暇を取得した日の賃金を請求する権利は、賃金の請求権として3年に延びています。
繰越を認めない、上限を40日より少なくする就業規則は無効
労働基準法で定める基準に達しない労働条件は無効となり、その部分は労働基準法の基準によります(労働基準法第13条)。
そのため、就業規則で「使わなかった有給休暇は年度末に消滅する」「保有できるのは30日まで」などと定めても、付与日から2年が経つまでは、従業員は有給休暇を請求できます。
反対に、時効より長い有効期限を定めて従業員に有利に扱うことは差し支えありません。
このように、有給休暇の最大日数は、使わなかった日数を翌年に繰り越せることと、付与日から2年で時効により消滅することで決まり、会社が就業規則でこれより少ない上限を定めることはできません。
次は、パートの有給休暇の最大日数を解説します。
パートの有給休暇の最大日数
パートの有給休暇の最大日数は、週の所定労働日数によって異なり、繰越を含めた保有の最大日数は週4日で30日、週3日で22日、週2日で14日、週1日で6日です。
週の所定労働日数ごとの最大日数
週の所定労働時間が30時間未満で、週の所定労働日数が4日以下のパートには、所定労働日数に応じた日数を付与します(労働基準法第39条第3項)。
勤続6年6か月以上で付与される最大日数と、繰越を含めた保有の最大日数は、以下の通りです。
| 週の所定労働日数 | 年間の所定労働日数 | 付与の最大日数 | 保有の最大日数 | 年5日を取得させた場合 |
|---|---|---|---|---|
| 4日 | 169〜216日 | 15日 | 30日 | 25日 |
| 3日 | 121〜168日 | 11日 | 22日 | 17日 |
| 2日 | 73〜120日 | 7日 | 14日 | 対象外 |
| 1日 | 48〜72日 | 3日 | 6日 | 対象外 |
週4日と週3日のパートは、付与日数が10日以上になるため年5日の取得義務の対象となり、5日を取得させていれば保有の最大日数はそれぞれ25日と17日になります。
パートの付与日数は、パートの有給休暇の日数の記事で詳しく解説しています。
週30時間以上、または週5日以上なら正社員と同じ40日
週の所定労働時間が30時間以上のパートや、週の所定労働日数が5日以上のパートは、正社員と同じ日数を付与します。
そのため、付与の最大日数は20日、繰越を含めた保有の最大日数は40日で、正社員と変わりません。
パートという呼び方ではなく、所定労働時間と所定労働日数で判断する点に注意が必要です。
このように、パートの有給休暇の最大日数は、週の所定労働日数によって異なり、繰越を含めた保有の最大日数は週4日で30日、週3日で22日、週2日で14日、週1日で6日です。
次は、有給休暇の最大日数を超える場合と消化の順番を解説します。
有給休暇の最大日数を超える場合と消化の順番
有給休暇の最大日数を超えるのは、会社が法律より多く付与している場合や、時効より長い有効期限を定めている場合で、繰越分と当年度分は就業規則で定めた順に、定めがなければ繰越分から使います。
会社が法律より多く付与している場合
法律で定める付与日数は最低限の基準であるため、会社が独自にそれより多い日数を付与することは差し支えありません。
たとえば、勤続6年6か月以上の従業員に毎年25日を付与している会社では、繰越を含めて最大50日を保有することがあります。
法律で定める日数を超えて付与した分は、時効や繰越の扱いを会社が就業規則で定めることができます。
会社が時効より長い有効期限を定めている場合
就業規則で、付与日から3年など、時効の2年より長く有給休暇を使えると定めることも認められています。
有効期限を3年にした場合は、前々年に付与された分も残るため、法律どおりの付与でも最大60日を保有することがあります。
使えなかった有給休暇を、病気やけがの療養などに使える積立休暇として残す会社もあり、この場合も保有日数は40日を超えます。
繰越分と当年度分のどちらから使うか
繰越分と当年度分の両方がある場合は、就業規則で定めた順に使います。
就業規則に定めがない場合は、従業員の請求は繰越分から使うものと推定されます。
繰越分から使うほうが時効で消滅する日数が少なくなるため、就業規則で「繰り越された有給休暇から使う」と定めておくことが望ましいとされています。
このように、有給休暇の最大日数を超えるのは、会社が法律より多く付与している場合や、時効より長い有効期限を定めている場合で、繰越分と当年度分は就業規則で定めた順に、定めがなければ繰越分から使います。
次は、有給休暇の最大日数が残ったまま退職する場合を解説します。
有給休暇の最大日数が残ったまま退職する場合
有給休暇の最大日数が残ったまま従業員が退職する場合は、買い取りは原則として認められず、退職日までに残りの日数を取得させるのが基本です。
買い取りは原則として認められない
有給休暇は休むための制度であるため、会社が買い取って休ませないことは、原則として認められません。
ただし、以下の場合は、取得の機会を奪うことにならないため、買い取ることも差し支えないとされています。
- 退職時に使い切れずに残っている日数
- 時効で消滅した日数
- 法律で定める日数を超えて付与した日数
退職時の買い取りは会社の義務ではないため、買い取るかどうかや金額は会社が決めることができます。
退職日までに残りの日数を取得する場合の時季変更権
会社は、従業員が請求した日に休まれると事業の正常な運営を妨げる場合に、別の日に変更させる時季変更権を持っています(労働基準法第39条第5項)。
しかし、退職日より後の日に変更することはできないため、退職日までの日数をまとめて請求された場合は、時季変更権を行使する余地がほとんどありません。
最大の40日が残っていれば、約2か月分の勤務日を有給休暇にあてることになります。
引き継ぎと有給休暇の消化の調整
退職前にまとめて有給休暇を取得されると、業務の引き継ぎが間に合わないことがあります。
退職の申出があった時点で残日数を確認し、引き継ぎの期間と有給休暇を取得する期間を従業員と話し合って決めておくことが大切です。
日頃から有給休暇の取得を進めて、残日数が最大日数の近くまでたまらないようにしておくことも、退職時の混乱を防ぐことにつながります。
このように、有給休暇の最大日数が残ったまま従業員が退職する場合は、買い取りは原則として認められず、退職日までに残りの日数を取得させるのが基本です。
次は、有給休暇の最大日数を自動で管理できる勤怠クラウドを紹介します。
有給休暇の最大日数を自動で管理するなら勤怠クラウド
有給休暇の最大日数を自動で管理するなら、付与ごとに有効期限を管理して期限が早い分から消化し、残日数を従業員と管理者がいつでも確認できる勤怠クラウドがおすすめです。
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付与ごとに有効期限を管理し、期限が過ぎた分は残日数から除く
勤怠クラウドでは、有給休暇を付与するたびに、付与した日数と有効期限を1件ずつ記録します。
残日数は、有効期限内の分を合計して表示されるため、繰越分と当年度分を担当者が手で計算する必要はありません。
有効期限が過ぎた分は、自動で残日数から除かれます。
有効期限が早い分から消化する
承認された有給休暇は、有効期限が早い分から順に差し引かれます。
そのため、繰越分が残っている間は繰越分から消化され、時効で消滅する日数をできるだけ少なくできます。
会社独自の上乗せ日数や有効期限も設定できる
法定の有給休暇の有効期限は、初期値として付与日から24か月(2年)が設定されます。
休暇区分ごとに有効期限の月数を設定できるため、時効より長い有効期限を定めている会社にも対応できます。
法律より多く付与している会社は、上乗せする日数を設定しておけば、付与日に法定の日数と合わせて自動で付与されます。
残日数は、従業員の画面と管理者の画面の両方で確認できます。
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| プラン | 従業員数 | 月額(税込) |
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