フレックスタイム制の勤怠管理とは?方法と注意点について
フレックスタイム始業と終業の時刻が人によっても日によっても変わると、毎日の出退勤の記録はそろえにくくなります。
その分、フレックスタイム制では勤怠管理の考え方そのものが固定時間制とは変わり、担当者の負担が大きくなりがちです。
残業の数え方や不足時間の扱いを月末にまとめて計算しようとして、集計が合わなくなるケースも少なくありません。
フレックスタイム制のもとでの勤怠管理について、日々の記録から月末の集計、システムの選び方まで順に確かめていきます。
フレックスタイム制の勤怠管理とは?
フレックスタイム制の勤怠管理とは、日々の出退勤を客観的に記録したうえで、清算期間の合計の労働時間を法定労働時間の総枠や所定の総労働時間と比べて、時間外労働や不足時間を集計することです。
固定時間制の勤怠管理との違い
固定時間制とフレックスタイム制の勤怠管理の主な違いは、以下の通りです。
| 項目 | 固定時間制 | フレックスタイム制 |
|---|---|---|
| 始業・終業の時刻 | 会社が決める | 従業員が決める |
| 時間外労働の判定 | 1日8時間・1週40時間を超えた時間 | 清算期間の合計が法定労働時間の総枠を超えた時間 |
| 判定のタイミング | 日ごと・週ごと | 清算期間の終わり(1か月超の場合は月ごとの判定もある) |
| 遅刻・早退 | 始業・終業時刻を基準に判定する | コアタイムを設けた場合のみ。賃金は控除しない |
| 賃金の控除 | 遅刻・早退・欠勤の時間 | 清算期間の総労働時間に足りない時間 |
管理する時間
フレックスタイム制の勤怠管理では、以下の時間を把握する必要があります。
- 清算期間の実際の労働時間の合計
- 法定労働時間の総枠(40時間×清算期間の暦日数÷7)
- 労使協定で定めた所定の総労働時間
- 総枠を超えた時間外労働と、そのうち月60時間を超えた時間
- 所定の総労働時間に足りない不足時間
- 22時から翌5時までの深夜労働の時間
- 法定休日に働いた時間
清算期間の総枠は暦日数によって変わり、1か月の場合は31日の月で177.1時間、30日の月で171.4時間、29日の月で165.7時間、28日の月で160.0時間です。
労働時間の把握と、記録の保存の義務
始業と終業の時刻を従業員が決めていても、会社には、タイムカードやパソコンの使用時間などの客観的な方法で労働時間の状況を把握する義務があります(労働安全衛生法第66条の8の3)。
出勤簿やタイムカードなどの勤怠の記録は、労働関係に関する重要な書類として、5年間(当分の間は3年間)保存しなければなりません(労働基準法第109条)。
このように、フレックスタイム制の勤怠管理とは、日々の出退勤を客観的に記録したうえで、清算期間の合計の労働時間を法定労働時間の総枠や所定の総労働時間と比べて、時間外労働や不足時間を集計することです。
次は、フレックスタイム制の勤怠管理の方法を解説します。
フレックスタイム制の勤怠管理の方法
フレックスタイム制の勤怠管理は、清算期間の始めに総枠と所定を確認し、毎日の出退勤を打刻で記録し、清算期間の途中で累計を確認したうえで、締めで時間外・不足時間・深夜・法定休日を集計するという流れで行います。
清算期間の始めに、総枠と所定を確認する
清算期間が始まる時点で、その期間の法定労働時間の総枠と、所定の総労働時間を確認し、従業員にも伝えておきます。
所定の総労働時間を「1日の時間×所定労働日数」で定めている場合は、月によって時間数が変わるため、毎月の確認が欠かせません。
前の清算期間から不足時間を繰り越している場合は、その時間を加えた目標の時間も、あわせて従業員に伝えます。
毎日の出退勤を打刻で記録する
フレックスタイム制では出退勤の時刻が日ごとに変わるため、出勤・退勤・休憩の時刻を毎日打刻で記録しておくことが、正しい集計の前提になります。
打刻を忘れた日や誤った日は、その日のうちに修正の申請をしてもらい、上司が承認する流れを決めておくと、月末にまとめて記憶を頼りに直す必要がなくなります。
清算期間の途中で、累計の労働時間を確認する
清算期間の最後になって総労働時間に大きく足りない、あるいは総枠を大きく超えていたと気づいても、残りの日数では調整しきれません。
月の半ばなどの区切りで、その時点までの累計の労働時間を従業員と管理者の両方が確認し、足りない人には早めに調整を促し、長くなっている人には働きすぎを抑えるよう声をかけます。
締めで、時間外・不足時間・深夜・法定休日を集計する
清算期間が終わったら、実際の労働時間の合計から、以下の時間を集計して給与計算に渡します。
| 集計する時間 | 求め方 | 給与計算での扱い |
|---|---|---|
| 時間外労働 | 実際の労働時間の合計−法定労働時間の総枠 | 25%以上の割増(月60時間超は50%以上) |
| 不足時間 | 所定の総労働時間−実際の労働時間の合計 | 控除、または翌月に繰越 |
| 深夜労働 | 22時〜翌5時に働いた時間 | 25%以上の割増 |
| 法定休日の労働 | 法定休日に働いた時間(総労働時間とは別に集計) | 35%以上の割増 |
このように、フレックスタイム制の勤怠管理は、清算期間の始めに総枠と所定を確認し、毎日の出退勤を打刻で記録し、清算期間の途中で累計を確認したうえで、締めで時間外・不足時間・深夜・法定休日を集計するという流れで行います。
次は、フレックスタイム制の勤怠管理で注意すべきポイントを解説します。
フレックスタイム制の勤怠管理で注意すべきポイント
フレックスタイム制の勤怠管理では、1日8時間で残業を判定しないこと、遅刻・早退で控除しないこと、休憩・深夜・法定休日を別に管理すること、清算期間1か月超の月ごとの判定、清算期間と給与の締め日をそろえることに注意が必要です。
1日8時間で残業を判定しない
固定時間制と同じ設定のまま集計すると、1日8時間を超えた時間がすべて時間外労働として扱われ、総枠に収まっている時間まで割増賃金を払ってしまいます。
反対に、日ごとに8時間以内に収まっていることだけを見ていると、清算期間の合計が総枠を超えていることに気づかず、割増賃金の未払いにつながります。
遅刻・早退で控除しない
フレックスタイム制では、清算期間の総労働時間を満たしていれば、コアタイムに遅れた時間や早く帰った時間を理由に賃金を控除することはできません。
控除できるのは、清算期間の合計で所定の総労働時間に足りなかった時間だけです。
休憩・深夜・法定休日は別に管理する
フレックスタイム制でも、労働時間が6時間を超える場合は45分以上、8時間を超える場合は1時間以上の休憩が必要で、休憩を取れていない日がないかを確認する必要があります(労働基準法第34条)。
深夜労働の時間と法定休日に働いた時間は、時間外労働とは別に集計し、それぞれの割増賃金を計算します。
清算期間1か月超は、月ごとの週平均50時間も確認する
清算期間が1か月を超える場合は、清算期間全体の総枠に加えて、各月の労働時間が週平均50時間(50時間×暦日数÷7)を超えていないかを毎月確認します。
週平均50時間を超えた部分は、その月の時間外労働として、その月の賃金で割増賃金を支払う必要があります。
清算期間と給与の締め日をそろえる
清算期間の起算日と給与の締め日がずれていると、どの期間の時間外労働や不足時間をどの月の給与に反映するのかが分かりにくくなります。
清算期間の起算日は、給与の締め日にあわせて設定しておくと、集計と給与計算の誤りを減らせます。
このように、フレックスタイム制の勤怠管理では、1日8時間で残業を判定しないこと、遅刻・早退で控除しないこと、休憩・深夜・法定休日を別に管理すること、清算期間1か月超の月ごとの判定、清算期間と給与の締め日をそろえることに注意が必要です。
次は、フレックスタイム制の勤怠管理をエクセルで行う場合の限界を解説します。
フレックスタイム制の勤怠管理をエクセルで行う場合の限界
フレックスタイム制の勤怠管理をエクセルで行うと、記録が自己申告になりやすく、制度が混在すると計算式が複雑になり、修正の履歴も残らないため、従業員が増えるほど誤りや確認漏れが起きやすくなります。
自己申告になりやすく、客観的な記録にならない
エクセルの勤怠表に従業員が出退勤の時刻を入力する方法は、自己申告にあたります。
自己申告で労働時間を把握する場合は、実際の労働時間と合っているかを会社が調査するなどの措置が必要になり、パソコンの使用時間などとの突き合わせに手間がかかります。
制度が混在すると計算式が複雑になる
フレックスタイム制の部署と固定時間制の部署が混在する会社では、部署ごとに時間外労働の判定方法が変わるため、別々の計算式を用意して管理しなければなりません。
月ごとに変わる総枠や所定、深夜や法定休日の区分まで手作業で計算式に組み込むと、式の誤りやコピーのミスに気づきにくくなります。
修正の履歴が残らない
エクセルでは、誰がいつ出退勤の時刻を書き換えたのかが残りにくく、後から記録の正しさを説明しにくくなります。
労働基準監督署の調査や未払い残業代をめぐる争いでは、記録の信頼性が問われるため、修正の経緯が分かる形で記録を残しておくことが大切です。
このように、フレックスタイム制の勤怠管理をエクセルで行うと、記録が自己申告になりやすく、制度が混在すると計算式が複雑になり、修正の履歴も残らないため、従業員が増えるほど誤りや確認漏れが起きやすくなります。
次は、フレックスタイム制の勤怠管理システムの選び方を解説します。
フレックスタイム制の勤怠管理システムの選び方
フレックスタイム制の勤怠管理システムは、清算期間と所定総労働時間を設定でき、総枠で時間外を自動集計し、ほかの労働時間制と併用でき、従業員が途中経過を確認でき、打刻漏れや休憩不足を通知でき、必要な機能がオプション料金になっていないかで選びます。
清算期間と所定総労働時間を設定できるか
自社の清算期間の長さに対応しているか、清算期間ごとの所定総労働時間を設定できるかを確認します。
清算期間を2か月や3か月にしている会社は、月ごとの週平均50時間の判定まで自動で行えるかも確認が必要です。
総枠で時間外を自動で集計できるか
時間外労働を、1日8時間ではなく清算期間の総枠で自動集計できるかを確認します。
あわせて、不足時間、深夜労働、法定休日の労働、月60時間を超えた時間外労働を区分して出力できると、給与計算にそのまま使えます。
部署ごとに、ほかの労働時間制と併用できるか
フレックスタイム制を一部の部署だけに導入する場合は、固定時間制やシフト制、変形労働時間制の部署と同じシステムで管理できるかを確認します。
部署ごとに別のシステムやエクセルを使い分けると、給与計算の担当者の手間がかえって増えます。
従業員が、途中の労働時間を自分で確認できるか
フレックスタイム制では、従業員が自分で労働時間を調整するため、その月の累計の労働時間や不足時間を、従業員自身がいつでも確認できる画面があるかが重要です。
打刻漏れや休憩不足を通知できるか
出退勤の時刻がばらつくフレックスタイム制では、打刻漏れや休憩の取り忘れに気づきにくくなります。
打刻漏れや休憩不足を管理者に知らせる機能があれば、月末にまとめて確認する手間を減らせます。
必要な機能がオプション料金になっていないか
勤怠管理システムの中には、表示されている月額は安くても、フレックスタイム制への対応やアラート、出力などの機能をオプションで追加すると、料金が大きく上がるものがあります。
自社に必要な機能をすべてそろえた場合の、税込の月額で比べることが大切です。
このように、フレックスタイム制の勤怠管理システムは、清算期間と所定総労働時間を設定でき、総枠で時間外を自動集計し、ほかの労働時間制と併用でき、従業員が途中経過を確認でき、打刻漏れや休憩不足を通知でき、必要な機能がオプション料金になっていないかで選びます。
次は、フレックスタイム制の勤怠管理に対応した勤怠クラウドを紹介します。
フレックスタイム制の勤怠管理なら勤怠クラウド
フレックスタイム制の勤怠管理なら、総枠での時間外と不足時間を自動で集計し、ほかの労働時間制と同じシステムで管理でき、従業員も自分の労働時間を確認できる勤怠クラウドがおすすめです。
勤怠クラウドは、中小企業向けの定額制の勤怠管理システムで、清算期間1か月のフレックスタイム制に対応しています。
総枠での時間外と「フレックス不足」を自動で集計
従業員のグループごとに勤務形態をフレックスタイム制に設定し、清算期間の所定総労働時間を入力すると、時間外労働は、その月の労働時間の合計が法定労働時間の総枠(40時間×暦日数÷7)を超えた分として集計されます。
所定総労働時間に足りない時間は「フレックス不足」として別に集計され、フレックスタイム制のグループは遅刻や早退の判定の対象にもなりません。
深夜労働、法定休日の労働、月60時間を超えた時間外労働も別枠で集計され、従業員ごとに労働時間制・出勤日数・実働時間・時間外・うち月60時間超・深夜・法定休日・フレックス不足の列で、CSV・Excel・PDFに出力できます。
グループごとに、ほかの労働時間制と併用できる
勤務形態はグループごとに設定するため、事務や企画の部署はフレックスタイム制、店舗や現場の部署は固定時間制やシフト制、1か月単位の変形労働時間制というように、部署ごとに異なる制度を同じシステムで管理できます。
従業員が、自分の勤怠履歴でその月の労働時間を確認できる
従業員は、自分の勤怠履歴の画面で、その月の実働時間や残業時間、フレックスタイム制の場合は不足時間を確認できます。
清算期間の途中でも累計を自分で確認できるため、月末になってから労働時間が足りないことに気づくといった事態を防ぎやすくなります。
打刻漏れと休憩不足のアラート、修正申請と承認
退勤の打刻がない日は管理画面で打刻漏れとして表示され、退勤の打刻をしたときに休憩が法定の必要時間に足りない場合はアラートで管理者に知らせます。
打刻を忘れたり誤ったりした場合は、従業員が修正を申請し、管理者が承認すると打刻に反映されます。
打刻はパソコンやスマートフォンのブラウザから行え、専用アプリのインストールは必要ありません。
定額制・30日間無料
勤怠クラウドは、従業員数の上限ごとに月額を固定した定額制で、機能ごとのオプション料金はありません。
| プラン | 従業員数 | 月額(税込) |
|---|---|---|
| ライト | 50名まで | 4,950円 |
| スタンダード | 100名まで | 8,800円 |
| プレミアム | 300名まで | 16,500円 |
初期費用はかからず、30日間の無料体験はクレジットカードの登録も不要で、自動で有料契約に切り替わることもありません。
このように、フレックスタイム制の勤怠管理なら、総枠での時間外と不足時間を自動で集計し、ほかの労働時間制と同じシステムで管理でき、従業員も自分の労働時間を確認できる勤怠クラウドがおすすめです。

