フレックスタイム制で遅刻はある?コアタイムの扱いと控除について

フレックスタイム

始業と終業の時刻を自分で決められる職場でも、朝の会議に間に合わなかった、電車が止まって出社が昼前になった、といった場面は起こります。

そんなとき、フレックスタイム制で遅刻という扱いになるのかどうかは、従業員にとっても管理する側にとっても判断に迷うところです。

給与から差し引かれるのか、評価に響くのかといった点は、会社ごとのルールによって説明がまちまちです。

フレックスタイム制のもとでの遅刻について、法律上の扱いから会社ができる対応、ルールづくりまで順に確かめていきます。

フレックスタイム制で遅刻はある?

フレックスタイム制で遅刻になるのは、コアタイムを設けている場合に、その開始時刻に遅れたときだけで、フレキシブルタイムの中で遅く出勤しても遅刻にはなりません。

フレキシブルタイムに遅く来ても、遅刻ではない

フレックスタイム制では、始業と終業の時刻を従業員が自分で決めます(労働基準法第32条の3)。

決まった始業時刻がないため、普段より遅い時刻に出勤しても、フレキシブルタイムの中であれば遅刻にはなりません。

たとえば、フレキシブルタイムが7時から10時の会社で、普段は8時に出勤している人が9時半に出勤しても、それは本人が始業時刻を9時半に決めたということになります。

コアタイムに遅れると、遅刻になる

コアタイムは、労使協定で定めた、必ず勤務していなければならない時間帯です。

コアタイムの開始時刻に間に合わなかった場合は、勤務すべき時間帯に勤務していなかったことになるため、遅刻として扱われます。

同じように、コアタイムの終了時刻より前に退勤した場合は、早退として扱われます。

コアタイムがなければ、遅刻という扱いはない

コアタイムを設けない、いわゆるスーパーフレックスの場合は、勤務しなければならない時間帯がないため、遅刻や早退という扱いそのものがありません。

ただし、労働日に勤務しなくてよいわけではなく、所定労働日に勤務しなかった日は欠勤として扱われます。

状況 遅刻になるか
フレキシブルタイムの中で、普段より遅く出勤した ならない
コアタイムの開始時刻に遅れた なる
コアタイムを設けていない 遅刻という扱いがない

このように、フレックスタイム制で遅刻になるのは、コアタイムを設けている場合に、その開始時刻に遅れたときだけで、フレキシブルタイムの中で遅く出勤しても遅刻にはなりません。

次は、フレックスタイム制の遅刻で賃金を控除できるのかを解説します。

フレックスタイム制の遅刻で賃金は控除できる?

フレックスタイム制では、コアタイムに遅刻しても、清算期間の総労働時間を満たしていれば賃金を控除することはできず、控除できるのは清算期間の労働時間が総労働時間に足りなかった分だけです。

総労働時間を満たしていれば、控除できない

フレックスタイム制の賃金は、日ごとではなく、清算期間の実際の労働時間が所定の総労働時間に足りているかどうかで清算します。

コアタイムに1時間遅れた日があっても、別の日に長く働いて清算期間の総労働時間を満たしていれば、働くべき時間はすべて働いたことになります。

この場合に遅刻した1時間分を差し引くと、働いた時間の賃金を払わないことになり、賃金の全額払いの原則(労働基準法第24条)に反します。

控除できるのは、清算期間の不足時間

賃金を控除できるのは、清算期間の実際の労働時間が、所定の総労働時間に足りなかった場合です。

たとえば、所定の総労働時間が160時間で、実際の労働時間が150時間だった場合は、足りなかった10時間分を控除できます。

この控除は、遅刻したからではなく、清算期間の労働時間が足りなかったことによるもので、遅刻の有無とは関係なく判断します。

不足時間は、控除する代わりに、翌月の法定労働時間の総枠の範囲内で翌月に繰り越す方法もあります。

遅刻した時間をその日の賃金から差し引くと違法になる

固定時間制の遅刻控除の感覚で、コアタイムに遅れた時間をその都度差し引く運用は、フレックスタイム制では認められません。

勤怠システムをフレックスタイム制の従業員にも固定時間制と同じ設定で使っていると、遅刻した時間が自動で控除の対象になってしまうことがあるため、設定を確認しておく必要があります。

このように、フレックスタイム制では、コアタイムに遅刻しても、清算期間の総労働時間を満たしていれば賃金を控除することはできず、控除できるのは清算期間の労働時間が総労働時間に足りなかった分だけです。

次は、フレックスタイム制の遅刻に対して会社ができることを解説します。

フレックスタイム制の遅刻に対して会社ができること

フレックスタイム制の遅刻に対して会社ができるのは、賃金の控除ではなく、人事評価や賞与への反映、就業規則に基づく懲戒処分、精皆勤手当の支給条件への反映、フレックスタイム制の対象からの除外です。

人事評価・賞与に反映する

コアタイムへの遅刻は、決められた時間帯に勤務するというルールを守らなかったことなので、勤務態度として人事評価や賞与の査定に反映できます。

評価に反映するためには、遅刻の日時や回数を記録しておき、評価の基準を従業員にあらかじめ示しておくことが大切です。

懲戒処分と、減給の制裁の上限

遅刻を繰り返す従業員に対しては、就業規則に定めがあれば、けん責や減給などの懲戒処分を行うことができます。

懲戒として減給する場合は、1回の額が平均賃金の1日分の半額を超えてはならず、総額が1回の賃金支払期における賃金の総額の10分の1を超えてはならないという上限があります(労働基準法第91条)。

懲戒処分を行うには、どのような場合にどの処分を行うかを就業規則に定め、従業員に周知しておく必要があります。

精皆勤手当の支給条件にする

精皆勤手当を設けている会社では、コアタイムへの遅刻がないことを支給条件として定めることができます。

精皆勤手当の支給条件は会社が定めるものなので、コアタイムへの遅刻が一定の回数を超えた月は支給しないといった定めも可能です。

ただし、清算期間の総労働時間を満たしているのに基本給を控除することとは別の話であり、手当の支給条件として賃金規程に明記しておく必要があります。

遅刻を繰り返す人をフレックスタイム制の対象から外す

フレックスタイム制の対象となる従業員の範囲は労使協定で定めるため、遅刻を繰り返すなど一定の条件にあてはまる人を対象から外すことを、あらかじめ労使協定や就業規則に定めておく方法もあります。

対象から外れた従業員は、固定時間制で働くことになり、始業時刻に遅れれば通常の遅刻として扱われます。

このように、フレックスタイム制の遅刻に対して会社ができるのは、賃金の控除ではなく、人事評価や賞与への反映、就業規則に基づく懲戒処分、精皆勤手当の支給条件への反映、フレックスタイム制の対象からの除外です。

次は、フレックスタイム制の遅刻でよくあるケースを解説します。

フレックスタイム制の遅刻でよくあるケース

フレックスタイム制の遅刻でよくあるケースは、電車の遅延、フレキシブルタイム内の予定変更、遅れを取り戻すための残業、コアタイム中の早退や中抜けで、いずれも清算期間の総労働時間で調整するのが基本です。

電車の遅延でコアタイムに遅れた

電車の遅延でコアタイムに遅れた場合も、遅れた時間を清算期間の中のほかの日で働いて補えば、賃金には影響しません。

本人の責任ではない遅れのため、遅延証明書の提出などで事情が確認できれば、人事評価や懲戒の対象にはしないという扱いを就業規則に定めておくと、従業員の納得を得やすくなります。

予定より遅く来たが、フレキシブルタイム内だった

チーム内で共有していた出勤予定より遅く来ても、フレキシブルタイムの中であれば遅刻ではありません。

ただし、予定を前提に打ち合わせを組んでいるメンバーがいる場合は業務に支障が出るため、予定を変えるときは事前に連絡するというルールを決めておくと、トラブルを防げます。

遅れた分を取り戻すために残業を命じられる?

遅刻した日に、遅れた分だけ終業時刻を遅らせるよう会社が命じることは、始業と終業を従業員に委ねるというフレックスタイム制の趣旨に合いません。

遅れた時間は、清算期間の中で従業員自身が労働時間を調整し、総労働時間を満たしてもらうのが基本です。

コアタイム中の早退・中抜け

通院などでコアタイムの途中で退勤したり、一時的に業務を離れたりする場合は、早退や中抜けとして扱われます。

中抜けした時間は労働時間に含めず、清算期間の中で補えば賃金は控除されません。

コアタイム中の中抜けを認めるかどうか、認める場合の申請の方法は、就業規則などで定めておく必要があります。

このように、フレックスタイム制の遅刻でよくあるケースは、電車の遅延、フレキシブルタイム内の予定変更、遅れを取り戻すための残業、コアタイム中の早退や中抜けで、いずれも清算期間の総労働時間で調整するのが基本です。

次は、フレックスタイム制の遅刻を防ぐルールづくりを解説します。

フレックスタイム制の遅刻を防ぐルールづくり

フレックスタイム制の遅刻を防ぐには、就業規則にコアタイムの遅刻の扱いと連絡のルールを定め、コアタイムの長さと時間帯を見直し、出退勤の時刻を客観的に記録しておくことが大切です。

就業規則に、コアタイムの遅刻の扱いと連絡のルールを定める

コアタイムに遅れる場合の連絡の方法と期限、遅刻が人事評価や懲戒の対象になること、電車の遅延などやむを得ない場合の扱いを、就業規則に定めておきます。

あわせて、遅刻を理由に賃金を控除しないことを明記しておくと、従業員の誤解や担当者による運用の違いを防げます。

コアタイムの長さと時間帯を見直す

コアタイムへの遅刻が多い場合は、コアタイムの開始時刻が早すぎたり、長すぎたりしていないかを見直します。

コアタイムを全員がそろう必要がある時間帯だけに絞れば、遅刻が起きにくくなるだけでなく、従業員が出退勤を自分で決められるというフレックスタイム制の利点も活かせます。

出退勤の時刻を客観的に記録する

遅刻を評価や懲戒に反映するには、いつ出勤したかが客観的に記録されている必要があります。

会社には、タイムカードやパソコンの使用時間などの客観的な方法で労働時間の状況を把握する義務もあるため(労働安全衛生法第66条の8の3)、出退勤の打刻を毎日正確に残しておくことが前提になります。

このように、フレックスタイム制の遅刻を防ぐには、就業規則にコアタイムの遅刻の扱いと連絡のルールを定め、コアタイムの長さと時間帯を見直し、出退勤の時刻を客観的に記録しておくことが大切です。

次は、フレックスタイム制の遅刻・早退を正しく扱える勤怠クラウドを紹介します。

フレックスタイム制の遅刻・早退を正しく扱う勤怠管理なら勤怠クラウド

フレックスタイム制の遅刻・早退を正しく扱う勤怠管理なら、フレックスタイム制の従業員を遅刻・早退の判定の対象から外し、出退勤の時刻を打刻で記録したうえで、清算期間の不足時間を集計できる勤怠クラウドがおすすめです。

勤怠クラウドは、中小企業向けの定額制の勤怠管理システムで、清算期間1か月のフレックスタイム制に対応しています。

フレックスタイム制は遅刻・早退の判定の対象外

勤怠クラウドでは、従業員のグループごとに勤務形態を設定し、フレックスタイム制のグループは予定時刻を持たないため、遅刻や早退の判定の対象になりません。

固定時間制のグループと同じシステムで管理していても、フレックスタイム制の従業員が遅刻や早退として記録されることはありません。

出退勤の時刻は打刻で記録し、修正は申請と承認で反映

出勤・休憩開始・休憩終了・退勤の打刻は、パソコンやスマートフォンのブラウザから行え、専用アプリのインストールは必要ありません。

打刻を忘れたり誤ったりした場合は、従業員が修正を申請し、管理者が承認すると打刻に反映されるため、出退勤の記録を正確に残せます。

不足時間は「フレックス不足」として集計

グループに清算期間の所定総労働時間を入力しておくと、その月の労働時間が所定に足りない時間が「フレックス不足」として集計されます。

賃金の控除や翌月への繰越の判断は、遅刻の有無ではなくこの不足時間をもとに行えます。

時間外労働は、その月の労働時間の合計が法定労働時間の総枠(40時間×暦日数÷7)を超えた分として集計されます。

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